マンション西側ベランダの盆栽生活。
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【盆栽の水やりを検証】乾いたらタップリとは本当だった。

みう
みう
「乾いたらタップリと水をやる」は水やりをする大切なサインです。さらに鉢の重さを確認することで水やりのタイミングを深く知ることができます。大切な盆栽を枯らさないためにも、水やりと合わせて土の性質を知ることも大切です。

この記事は読むのに10分位かかります。目次を利用してください。

水やりの基本について【初級編】

みう
みう
まずは、一般的なことからです。水やりの基本は「土の表面が乾いたらたっぷり」とです。

盆栽に限らず、園芸の水やりでも同じようなことが言われているようです。乾いたらというのは、用土の中に酸素を送り込むことが大切なので、常に加湿状態にはしないという意味です。

とても簡単な言葉なのですが、水やりはとても難しい作業で、盆栽の世界では水やり三年という言葉もあるくらいです。

また、盆栽の鉢は園芸の鉢の比べて小さく、とても水分の割合が激しく変化します。水を切らせてしまえば、樹にとっては死活問題なわけです。水やりは盆栽を育てる作業で一番重要になります。

水やりの頻度

季節 水やりの頻度
春/秋 1回/1~2日
2,3回/1日
1回/2~3日

一般的な水やりの頻度です。置く場所や、鉢の大きさにより違いがでますので注意が必要です。

水が大切だからと言って、水が多いとそれはそれで悪い影響がでます。代表的なものでは根腐れです。水が多いことにより、空気が換気されず、酸素不足が起こると言われています。そのため、通気性(気相の割合を20~30%、最低でも15%)を良くすることを前提に土作りもしなければいけません。

水やりは単に水をあげるだけでなく、用土を理解した上で水やりをすることが大切となります。土作りと水やりはとても密接な関係になります。

「乾いたらタップリと」の「乾いたら」を後で数値で納得してもらうようにします。お楽しみください。

水やりの注意点

何度も出てきますが、水やりは乾いたらタップリとです。

乾いたらの意味

『乾いたら』は酸素を土の中に送ってあげることです。

水きれを心配するあまり、常に水をあげていれば良いのではないかと考えてしまいますが、水が多いと鉢の中の酸素不足が発生します。それにより根腐れなどが発生します。

タップリの意味

『タップリ』とは鉢の中全体にむらなくすること意味します。

そのため、鉢底から水が流れ出るまで水をやることが基本です。表面だけ水をかけても鉢の中まで水が行きわたっていなかったり、かけむらが起こることもあるので、鉢底から流れ出るまで鉢全体に水をかけます。

ドブ漬けによる水やりでは、鉢からブクブクと空気が出てきますので、しっかりと水を吸わせてください。

水やりの方法

水やりにもいろいろな方法がありますので、生活にあった方法を取りいれるといいと思います。

じょうろ、シャワー

鉢の表土にしっかりと水をかけます。水の勢いで土がこぼれたりしないように気を付けます。

葉水

虫などを流し落とすなどの効果があります。

また、夏場の昼間の葉水は良くないと言われますがあまり関係ないようです。葉水をすることで、葉の裏にある気孔が閉じなくなる(水によるホルモンの影響)ため蒸散が増えます。葉だけに水をかけてしまうと、蒸散が行われているのに土の水分は奪われる一方なので、用土にもしっかりと水をあげれば問題ないようです。用土に水やりを伴わない葉水は水切れの原因を招く一つと考えた方がよいでしょう。

 

ドブ漬け

鉢ごと水に沈めます。ブクブクと空気が鉢から出てきますので、しっかりと用土に水を吸わせてください。10秒程度浸ければ十分水を吸っています。

底面給水

長期の外出などにもこの方法で水やりを対処します。3日~4日は根腐れを起こさないと言われています。水の量は深い受け皿で多くするよりも、平たく大きな受け皿などで多くする方が良いです。
また、水をミニ盆栽など乾きが早い盆栽で夏場の水やりには有効ですが、夕方にはしっかり乾かすように心がけてください。

挿し木、挿し芽の給水もこの方法が良いです。上から水をかけると挿し木、挿し芽がずれてしまうので、静かに水を与えたい場合はこの方法が良いです。

ラップを巻く

ラップやビニール袋で鉢ごと覆います。これも長期の外出などに有効です。中に新聞紙やキッチンペーパーを湿らせて鉢を巻いておくとさらに効果的です。

鉢を2重にする、砂を敷く

豆盆栽などは数時間でカラカラになってしまいます。盆栽を飾らないとき、日常管理においては鉢を2重にしたり、大きな皿に砂などを敷きその上に鉢を置くなどして管理します。

水やりと用土の毛細管現象

水やりと用土は深く関わっています。それを示すのが毛細管現象です。

3枚の写真を見ていただくと分かると思います。

左から→小粒、極小粒、細粒

みう
みう
水やりと用土の関係を理解いただけたでしょうか。また、盆栽を始めた方がまず驚くのはこの鉢底から流れ出るまで水をかけることです。盆栽は鉢が小さいので、一般的な園芸の水やりとは違います。

用土の大きさと三相分布の違い【中級編】

みう
みう
土の三相分布を知ることで、土の大きさや種類をどのように使うかがわかってきます。さらに、水分の量もわかるので水やりをさらに深く知ることができます。

用土の大きさや鉢の大きさによって、用土の乾き具合は大きく変わります。

そのため、鉢の大きさを選ぶことと、用土のふるい分けはとても需要な作業になります。ここでは用土の大きさによる違いを測ってみました。

「三相分布」と「土壌の三要素」を知る

三相分布を知る前に、土壌の三要素である「物理性、化学性、生物性」を知る必要があります。

この土壌の三要素が密接に絡みあって良い土壌はできています。特に自然界や田畑などはこの三要素のバランスを大切にしているそうです。盆栽ではあまり意識されないですが、盆栽にも生かすことで、盆栽の生育に大きな影響を与えます。

物理性

単層構造と団粒構造

物理性は土壌の構造や性質などを示すもので、一般的には団粒構造の用土が良いとされ、単層構造は良くないとされています。

盆栽の鉢の中の話をすると分かりやすいと思いますが、植替えしたばかりの土は粒がしっかりとそろっていて、適度に粒と粒とも間に空間があります。これが団粒構造です

しかし、数年たった盆栽鉢の中の土は粒が砕けて固まった用土となっています。これが単層構造といわれるもので、特に通気性において悪くなっています。そのため酸素が十分に行きわたらなくなり根腐れの原因となっています。盆栽では年数がたった鉢の中や、植替え時に微塵をしっかりと流さなかった場合に、鉢の中に単層構造が多くなります。

三相分布について

三相分布は、この土の個体の部分(固相)、水分の量(液相)、個体と水分以外の空気(気相)の3つで分け、土を物理的どういう分布になっているかを%で表したものです。次の項に、赤玉土、鹿沼土、桐生砂の三相分布を調べました。

2年使用した赤玉土の気相率の減少

私が使用した盆栽の2年間使用後の赤玉土の気相率の変化です。

左の赤グラフは新品赤玉土の気相率(メーカー3社の平均値)と、右の黄色は2年使用後の赤玉土です。粒は全体的に小さくなっており、微塵も増えていました。植替えが2~3年で行うと言われるのは、この気相率の変化からもわかります。

みう
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植物にとって快適な状態は、固相40%、液相/気相20~30%とされているそうです。盆栽では気相率を最低でも15%は維持したほうが良いと言われています。植え替え直後の新しい赤玉土では、気相率は35%~50%はあるので気にする必要はあまりなく、逆に乾きすぎに注意すべきです。

化学性

塩基バランスや栄養分を指します。

生物性

微生物などによる悪い土壌とならないために必要です。盆栽鉢は植替え直後、菌の生息はほとんどないものと考えますので、あまり気にする必要はないかと思います。

ただ、数年たつと鉢の中には菌が増えてきます。悪い菌もいますが、良い菌の代表的なものに松の菌根菌があります。菌根菌は栄養の吸収を助けてくれるのですが、盆栽では伝統的に有機肥料を好んで使いますので、有機物を菌が分解して初めて根から栄養が吸収されます。菌が鉢の中にいることで、有機肥料の吸収をしっかりとしてくれるメカニズムが出来上がります。

赤玉土、鹿沼土、桐生砂の三相分布

家庭レベルの実験ですが、固相率に大きな差がないことは自画自賛です。

赤玉土の三相分布(二本線赤玉土)

固相 液相 気相
細粒 23% 55% 20%
極小粒 24% 41% 35%
小粒 24% 38% 38%

鹿沼土の三相分布(鹿沼興産鹿沼土)

固相 液相 気相
細粒 11% 46% 42%
極小粒
小粒 9% 26% 65%

桐生砂の三相分布(鹿沼興産桐生砂)

固相 液相 気相
細粒 35% 48% 17%
極小粒
小粒 22% 27% 54%
みう
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桐生砂単体でもかなり三相分布は理想に近い状態です。ただ、土壌の化学性について調べる必要がありそうです。

赤玉土の三相分布【実践編】

ここでは赤玉土(商品名は二本線赤玉土)の三相分布を詳しく見ていきたいと思います。

三相分布を考える時、用土の種類(鹿沼土、桐生砂、腐葉土など)の配合で三相分布は変わってきますが、それ以上に大きさを分けることが三相分布には重要だという人も多いそうです。

細粒、極小粒、小粒のふるい分け

今回の粒の大きさは、細粒(1~2㎜)、極小粒(2~4㎜)、小粒(4~5㎜)に分けました。

私の持っているふるいは、100円ショップのものなので、1㎜、2㎜、5㎜しかありません。5㎜ふるいを工夫して4㎜にしましたが、3㎜、4㎜のふるいはあまり売っておりませんので、細かくふるいをかけるのは大変かもしれません。

盆栽における一般的な用土の大きさの分類です。

微塵 1㎜以下(あまり使わない)
細粒 1~2㎜(ミニ盆栽、小品盆栽に使用)
極小粒 2~4㎜(小品盆栽に使用)
小粒 3~6㎜(大物盆栽の主用土)
ごろ土 6㎜以上

 

三相分布の計り方

三相分布の計算式

サンプル土100㏄の場合
固相(%) 乾いた用土÷2.65÷100
液相(%) (水を含んだ土(生土)-乾いた土)÷100
固相(%) 1-(固相+液相)

比重≒2.65は円周率のような決まった数字と考えて計算してください。深くは考えるととてもややこしくなります。

サンプル土に合わせた計算
固相(%) 乾いた用土÷2.65÷100÷100/鉢の容積
液相(%) (水を含んだ土(生土)-乾いた土)÷鉢の容積
固相(%) 1-(固相+液相)

盆栽鉢では2号鉢深鉢がちょうど容積100㏄でした。100㏄でない場合は式を応用して近い値を出すこともできます。表の式で計算しました。

みう
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研究室レベルではないので、これで十分日常に応用できると思います。

サンプル土の採取の仕方


盆栽用土の計測のため、計量容器で容量(㏄)を測れば終わりです。

自然や畑からの採取は、特殊な機器を用いて100㏄の生土のサンプルの採取をするようです。

ここでは、家庭で行うの観察レベルと思って、細かいことは抜きにしています。

乾燥用土の測り方


ここが一番の作業かもしれません。三相分布の基準になるところですので、しっかりと乾燥させて計測をはじめたいところです。

私は、家庭用こんろと鍋で用土を15分温めて乾燥させました。熱をくわえ過ぎると有機物が焼けてしまうとのことですので、温度を上げすぎないように注意が必要とのことですが、あまり気にせず、しっかりと乾燥させます。

細粒、極小粒、小粒の三相分布


今回私が使用した「二本線赤玉土」ですが、書物等で記載されている三相分布とは少し違う割合となりましたが、とても参考となる数値ですので、ぜひ見てください。下の表の数値は水分をしっかりと含んだ数値です。液相率は乾燥が進めば数値は低くなり、逆に気相率が上がることとなります。

赤玉土 固相 液相 気相
細粒 23% 38% 20%
極小粒 24% 41% 35%
小粒 24% 55% 38%

水やりのタイミングと水分変化【実験】

みう
みう
「土の表面が乾いたらたっぷり」とが本当か写真を見ながら検証していきたいと思います。

【実験方法】素焼き2号鉢に赤玉土極小粒100㏄を入れて、重さを測り液相率を計算しました。
【結果】表面の乾き具合と見た目の写真を載せましたので参考にしてください。
【結論】私の結論としては、2号鉢では極小粒を使うことが主なので、表面が乾き始めてから完全に乾いたころ(27%~25%)で水やりをすると無理なく水やりができます。25%を切ってからの水やりはいわゆる『辛め』の水やりです。水の好きな雑木類は表面が乾き始める頃(液相率約30%)で、水やりをするくらいでいいと思います。

赤玉土細粒(1~2㎜)の場合

赤玉土細粒を単体で2号深鉢に使用することはあまり多くないかと思いますが、一つの例として見てください。

表面が乾きはじめは31%

表面がしっかり乾いたら25%

 

液相20%を過ぎると鉢の中はかなり乾いている

15%ではカラカラ

赤玉土極小粒(2~4㎜)の場合

表面が乾きはじめは27%

表面がしっかり乾いた25%

20%で中はかなり乾燥している

鉢の表面がカサカサで軽かったら15%以下

赤玉土小粒(4~6㎜)の場合

表面が乾きはじめは25%

中はまだまだ湿っています。

しっかり乾いたら20%

鉢が乾燥して軽くなったら乾きすぎ15%以下

みう
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少し写真の色がわかりにくいですが、表面は乾いていても中はまだまだの状態もあります。この検証は赤玉土単体なので、ほかの用土を配合しると少し違いが出ると思います。

水やりは鉢の大きさに影響されるか【実験】

みう
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小さい鉢は乾燥しやすいというのは、経験的に知っていることだと思います。今回、土の量は同じで、鉢の大きさだけを変えて実験してみました。

2.5号鉢と2号鉢の水分変化の違い

【実験方法】2.5号鉢と2号鉢にそれぞれ100㏄の赤玉土極小粒を入れて重さを測ってから、液相率を計算しました。
【結果】鉢が大きくなることで、鉢の中の液相率が増えることがわかりました。当然、液相率が増えているので、水分の絶対量も増えています。鉢に含まれる水分量を差し引いて、この結果となっています。
【結論】見た目ではわからない部分ですが、重さを測ることで保水割合がわかりました。ただ、似たような鉢の形状で水分量に違いがでた今回の結果は信憑性のない結果だと思います。ただ、結論として鉢の形状により、鉢と用土の間の水分の保持の違いが結果として表れたと考えました。水やりには表面の乾きをみることと、鉢も重さを確認することもとても重要だと言えます。ただ、赤玉土そのものの保水力に違いはないはずです。実験について、鉢の置く位置が微妙に日当たりの違いがあったので、グラフの変化がずれています。ただ、明らかに初期の液相率は違っています。

乾燥速度に違いがでる

水分の絶対量が違うので、鉢全体の乾燥速度にも差が出るもは当然です。鉢を大きくして用土の量を多くすればすれば乾燥を遅らせることができます。

今回は用土の量は同じとしています。極端に言うと、深鉢と平鉢とでは乾きに差が出るとように鉢の形状によって違いがあると考えました。

表面の乾きで判断は変わらない

2号鉢 液相25% 赤玉土 極小粒

2.5号鉢 液相25% 赤玉土 極小粒

みう
みう
写真は少しわかりにくいですが、鉢の中の状態は2号鉢2.5号鉢いづれもあまり変わりませんでした。あとは鉢を手に取って、鉢の重さを知ることがとても大切です。

水やりと水分計の利用【予備編】

自分の鉢に適した水分計を選ぶ

私も水分計を買いましたが、私が買ったものは小品盆栽では水分計が大き過ぎて測ることができませんでした。今回2号鉢の深鉢での実験ですので、様々な鉢の形状に合わせた水分の状態を知りたいものです。細かな数値が出ない水分計もあるので、表示範囲を把握して土壌の水分を様々な角度から知っていくことができれば、それも水やりの大きな手助けになると思います。

高価な水分計は小さな盆栽に利用できるが、、、

趣味で園芸をしている方々で金銭的に余裕のある方は高価な買い物ができるかも知れません。1万円近く出せば、小さな鉢でも計測できる土壌水分計が購入できるようです。また、表示もかなり正確に表示されるそうです。

盆栽の水やり【結論】

表面が乾いたらたっぷりは正しいが、用土作りを前提に

格言の「土の表面が乾いたらたっぷりと水をやる」は正しかったでした。

ただし、粒の大きさ、鉢の大きさ、鉢の深さが適切であることが大前提でだと言えるのかと思います。

赤玉土の小粒、極小粒は乾き始めた頃が理想的状態

今回の実験で、表面が乾き始めたころ(極小粒の液相率27%~25%、小粒の液相率25%)が水やりのタイミングです。気相率30%~50%と十分すぎるほど酸素は入っています。昔から言われている、「乾いたらタップリと」は小粒、極小粒の大きさに適した言葉の様です。

赤玉土細粒は使い方と水やりは難しい

極小粒を単体で鉢に入れるものは、おそらく豆盆栽くらいだと思います。豆盆栽については私はまだ知識がないのですが、2重鉢や砂に鉢を埋めて水やりを行います。小さすぎて水分量を測ることは困難なので、見た目と経験が必要になるものだと思います。

写真の盆栽は極小粒で仕立てています。ミニ盆栽の分類ですので、鉢の大きさは5㎝くらいです。

粒の大きさの違いは、鉢の大きさにも影響します。通常、小さい粒の用土ほど小さい鉢で使いますので、今回の実験では2号鉢に細粒を入れてますが、通常盆栽を育てる場合にはそのような使い方はあまりしないかと思います。実際に三相分布を見ても液相である水分の割合がとても多くなってしまってます。鉢の大きさでもわかったように、鉢が大きくなると液相の割合が大きくなります。

みう
みう
生活にあった水やりをするには、鉢の大きさ、鉢の種類、用土の大きさ、用土の種類を考えることがとても大切になります。

 

参考文献
・第3期大阪層群土壌の植栽上の問題点とその改善策について「造園雑誌51(5) 1988」
・近代盆栽 2008年6月号 P22~P42
・盆栽世界 2019年1月号~6月号「好評連載 木を知れば盆栽がわかる 解説 喜多智靖」
・初めての盆栽 作り方&育て方 「山田香織著」